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2025.11.12
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コラム

アルミへのカチオン電着塗装は可能?密着性を高める前処理のポイント

第1章:ZAM・SECCは電着塗装できる?密着不良が起きる理由を解説

1. ZAMとSECCの違いと素材特性

まず前提として、ZAMとSECCはどちらも「亜鉛メッキ鋼板」ですが、メッキ方法と成分が異なります。
ZAM(ザム)は、亜鉛をベースにアルミとマグネシウムを加えた溶融亜鉛めっき鋼板で、高い耐食性を誇ります。特に屋外機器や建材など、サビに強い用途に使われることが多い素材です。
一方のSECCは、電気亜鉛めっき鋼板のことで、精密機器・筐体・家電部品など、薄板で外観品質が求められる製品に多く使用されます。

 

どちらも「亜鉛メッキ層」が存在するため、鉄素材に比べてカチオン電着塗装時に特有の反応を起こします。このメッキ層こそが、電着塗装での“密着トラブル”の原因になるのです。

 

 

2. 亜鉛メッキ層が電着塗装に与える影響

カチオン電着塗装は、金属表面に電気を流して塗料粒子を引き付ける「電気化学的反応」によって塗膜を形成します。
このとき、下地の亜鉛メッキ層が電気の流れや反応を変化させ、過電着・ガス発生・塗膜のムラといった不良を引き起こすことがあります。

 

ZAMの場合、アルミやマグネシウムを含むため、メッキ表面の電位が鉄よりも低く、電着中に水素ガスが発生しやすい傾向があります。これがピンホールや気泡の原因になり、塗膜密着を妨げます。
一方SECCでは、電気亜鉛めっき特有の酸化被膜やクロメート皮膜が表面に残っていることがあり、これが電着時の導電性を不均一にし、部分的な塗膜浮きや剥離を招くことがあります。

 

 

3. 密着不良・白錆・バイポーラが起きるメカニズム

ZAMやSECCへの電着塗装では、主に以下のようなトラブルが起きやすい傾向があります。

 

・密着不良(剥離)
 脱脂・酸洗不足や、化成処理不良によって下地の亜鉛酸化物が残り、塗膜が化学的に結合できない。

 

・白錆の発生
 亜鉛メッキは酸性環境に弱く、電着槽のpHバランスが崩れると、亜鉛が溶解して表面に白い腐食生成物(Zn(OH)₂)が生じる。

 

・バイポーラ
 電気めっき中に製品が一部でも無通電状態になることによって発生し、金属が同時に陽極(プラス)と陰極(マイナス)の性質を帯びる。

 

これらの不良は、塗料や装置の問題というよりも、前処理条件と電着条件の不一致によって起きることがほとんどです。

 

 

4. 「素材選定×前処理条件」で結果が変わる理由

ZAMとSECCは、見た目が似ていても表面組成が大きく異なるため、同じ前処理ラインで共通条件を適用するのは危険です。
ZAMでは、アルミやマグネシウムの酸化物を安定除去できる弱酸性の脱脂液+ジルコニウム系化成処理が有効とされます。
一方、SECCでは、電気メッキ由来のクロメート層を除去するため、軽いアルカリ脱脂+リン酸塩皮膜処理が密着性の安定化に適しています。

 

また、電着塗料の選定も重要です。ZAM対応型のカチオン電着塗料は、アルミやマグネシウムとの親和性が高く、密着不良を抑える配合になっています。
素材特性・前処理・塗料の3点を合わせて検討することで、塗膜密着と耐食性の両立が可能になります。

 

 

ZAMやSECCへのカチオン電着塗装は、「できる」けれども「条件次第」というのが現実です。
亜鉛メッキ層は鉄とは異なる化学反応を起こすため、密着性の確保には素材ごとの最適化が欠かせません。
密着不良や白錆が発生した場合は、まず前処理の見直しと槽条件の安定化から着手することが成功の第一歩です。

 

次の章では、これらのトラブルを防ぐための「前処理・電着条件の最適化」について、実際の現場での改善ポイントを詳しく解説します。

 

 

 

 

第2章:密着トラブルを防ぐコツと前処理・塗装条件の最適化

1. ZAM・SECCに共通する密着向上の前処理フロー

亜鉛メッキ鋼板へのカチオン電着塗装では、前処理の「ひと手間」が品質を大きく左右します。
鉄素材のように単純な脱脂・リン酸塩処理では不十分で、メッキ層特有の酸化皮膜や化学反応を考慮したフロー設計が必要です。

 

一般的なプロセスは以下の通りです。

 

1.アルカリ脱脂(油分・汚染物除去)

 

2.酸洗い(酸化皮膜・メッキ残渣の除去)

 

3.化成処理(皮膜形成による密着安定化)

 

4.純水洗浄(残留イオンの除去)

 

特にZAMの場合、メッキ層にアルミやマグネシウムが含まれているため、強アルカリ脱脂を行うと表面が溶解してムラや曇りを引き起こすことがあります。
そのため、pH9前後の中性〜弱アルカリタイプの脱脂剤を使用し、時間と温度を厳密に管理することがポイントです。

 

 

2. 化成処理の選定と使い分け

密着性を高める上で最も重要なのが「化成処理」です。
ZAM・SECCともに表面に金属酸化物が形成されており、塗料との化学結合を助ける皮膜をつくることが密着安定の鍵となります。

 

・ZAMの場合
 アルミ・マグネシウムを含むため、従来のリン酸亜鉛処理では皮膜が不均一になりやすい傾向があります。
 そのため、最近ではジルコニウム系・チタン系のクロムフリー化成処理が主流です。これにより、金属表面の微細凹凸に均一なナノ皮膜が形成され、電着時の電位差を抑えられます。

 

・SECCの場合
 電気亜鉛めっきのため、比較的平滑で導通性が高いので、液中で製品が浮き上がりなどで密着・挟み込み等の状況になった場合、意図しない通電経路ができバイポーラ現象が起きます。バイポーラ現象は外観として主にハジキ・ピンホール・通電不良に見えます。
 軽い酸洗いで旧皮膜を除去した後、リン酸塩系処理を行うことで、塗膜との機械的密着を強化できます。

 

どちらの場合も、化成処理槽の温度・pH・濃度管理を怠ると皮膜厚が不均一になり、結果的に塗膜ムラや剥離の原因となります。

 

 

3. 電着条件(電圧・時間・pH)の最適化

塗料が適正でも、電着槽の条件が合っていなければ密着トラブルは防げません。
特にZAMはメッキ層の電位が鉄よりも低く、電流が流れすぎる(過電着)ことで気泡やピンホールが発生します。

 

そのため、ZAM素材の場合は通常よりも電圧を5〜10%低めに設定し、塗着時間も短めに調整します。
一方、SECCでは導電性が良いため、電圧は標準値でも問題ないものの、pHの変動によって亜鉛が溶解し、白錆を誘発することがあります。
この場合、電着槽内のpHを5.0〜6.0の範囲に安定させ、定期的なフィルターメンテナンスで不純物を除去することが大切です。

 

また、ZAM・SECCともに、塗料循環ラインの攪拌が強すぎると空気混入を起こすため、流速調整も品質安定のポイントです。

 

 

4. 実際のトラブル事例と改善策

実際の現場では、次のような事例が多く見られます。

 

  • 事例①:ZAMで塗膜剥離
     →酸洗い時間が短く、酸化皮膜が残存。前処理を強化し、ジルコニウム系皮膜処理で改善。

  • 事例②:SECCで白錆発生
     →電着槽のpHが低下し、亜鉛が溶出。中和処理でpHを安定化させ再発防止。

  • 事例③:ZAMでブリスター(膨れ)
     →塗着時の電圧過多が原因。電圧を下げ、乾燥温度も10℃低下させて改善。

このように、トラブルの多くは素材特性と工程条件のミスマッチから生じます。

 

 

5. 量産ラインでの品質安定とコストバランス

前処理を強化すれば品質は上がりますが、同時にコストも増加します。
重要なのは、「必要最低限の安定化ポイント」を見極めることです。
ZAMやSECCでは、化成処理剤の選定と槽管理の自動化が最もコスト効果の高い改善策とされています。

 

また、初期段階で素材サンプルを用いた試験塗装を行い、密着・耐食性を評価しておくことで、量産移行後の不良リスクを大幅に削減できます。

 

ZAM・SECCへのカチオン電着塗装で密着不良を防ぐには、


① 素材ごとに最適な前処理を行うこと、
② 電着条件(電圧・pH・時間)を安定化させること、
③ 定期的な槽管理とサンプル試験を行うこと、


この3点が不可欠です。

 

亜鉛メッキ鋼板は難易度が高い素材ですが、適切な工程管理を行えば、高耐食・高外観品質の電着塗装を実現できます。
信頼できる塗装業者と協力し、条件の「見える化」と「検証」を積み重ねることで、量産ラインでも安定した品質を保つことが可能です。

 

 

 

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